
半月板損傷
更新日時:2025/03/19
半月板損傷とは?

図:文献1)より引用
半月板(はんげつばん)とは膝関節にある線維軟骨で構成される組織です。
半月板は関節適合性の低い膝関節において、大腿骨-脛骨間にくさび状に介在し適合性を向上することで、垂直方向の荷重が一極に集中しないよう分散しています。また、膝関節の安定性にも寄与しています。
半月板は加齢とともに変性して損傷しやすくなることから、中年以降でははっきりした外傷もなく、日常生活動作(階段昇降や小走りなど)の軽微なきっかけで損傷することがあります。
また、若年者ではスポーツ外傷でよくみられます。急な方向転換など膝に体重がかかった状態で膝をひねったりすることで起こります。前十字靭帯損傷などの靭帯損傷の場合は、半月板損傷を高率に合併することがあります。
半月板損傷の症状
☑ 膝の曲げ伸ばしで痛み
☑ 動かす時にひっかかり感
☑ 膝関節の腫れ
☑ ひどい場合には膝を動かせなくなるロッキング

半月板損傷の治療法
半月板には、関節軟骨にかかる荷重圧を分散したり、関節の安定性を高めたりするなどの重要な役割があるため出来る限り温存することが重要です。以前は、半月板切除術が主な治療法とされていましたが、半月板切除後に長期間経過観察すると程度の差はあれ必ず関節軟骨が傷むことから、現在では温存を目的とした治療が重要視されています。
□リハビリテーション
膝関節に負担が集中してしまう悪い動作のクセをリハビリテーションで修正していきます。
具体的には、局所である膝関節の柔軟性や筋力を高めたり、膝関節の負担を分散するために、足や股関節・体幹・上半身などの全身に対してアプローチしていきます。
当院では、単なるストレッチや筋力トレーニングだけではなく、身体の使い方について神経系や感覚系にアプローチすることで、より早期の回復と再発予防を目指します。
健康寿命を伸ばし、生涯にわたってより豊かに過ごせるようお手伝いさせていただきます。
□装具療法
装具を装着し、半月板損傷によって不安定となった膝の安定性をサポートします。不安定な膝は負担がかかりやすいことから、負担を減らし、痛みを抑えたり治癒を促進させる目的で行います。
また、人によっては足底板(インソール)を使用することで膝関節の動作が安定し、症状の軽減が見込める場合があります。当院では、歩行動作や徒手検査などを行い適応を判断しながら、より効果的な治療を提案していきます。
□投薬
病院では医師の判断により、痛み止めの内服や関節内の潤滑油である「滑液」を補うヒアルロン酸の注射、局所麻酔剤(痛み止め)、炎症を強力に抑えるステロイドなどの注射が行われます。半月板を治癒させるものではありませんが、痛みを緩和させ動かしやすくする効果があります。
□手術療法
リハビリテーションや投薬で症状が改善しない場合には、関節鏡手術が行われます。手術法には損傷した部分を切り取る半月板切除術と糸で縫い合わせる縫合術があります。
参考・引用文献一覧
1)岡村:半月板損傷.整形外科看護.vol.27 no.11.2022

執筆者 小山 晴樹
こやま整骨院・整体院 院長 (長野市南長池761-5)
柔道整復師免許を取得後、長野県長野市内のスポーツ整形外科にて診療補助・リハビリテーション業務に従事。オリンピック選手やプロ野球・プロサッカー選手などのリハビリテーションにも携わる。また、施設管理主任・部長として、施設運営のみならず講演会や研修会を企画運営した。
現在は、長野市南長池にて「こやま整骨院・整体院」の院長として臨床に携わる。