
ジャンパー膝
更新日時:2025/03/11
ジャンパー膝とは?
ジャンパー膝はバレーボールやバスケットボールなどのジャンプや着地動作を繰り返すようなスポーツで、膝前面に繰り返しストレスが生じることで発症するスポーツ障害です。
好発年齢は12〜20歳で、男性のほうが多く発症すると言われています。
発症のピークは男女ともに16歳と言われています。年齢とともに受診数は大幅に減り、強度の高い運動との関連が考えられています。
これまでの研究によると、ジャンプ動作の多いバレーボールでは、約半分弱に膝蓋腱炎(ジャンパー膝の一種)があると報告されています。
ジャンパー膝の症状
☑ 膝の曲げ伸ばしで膝前面に痛みが生じる
☑ ジャンプや着地動作、ダッシュ動作で痛む
☑ 膝を深く曲げると痛い

ジャンパー膝の原因
内的要因
(1)動作不良(膝優位の動作、猫背などによる動作など)
(2)筋肉の硬さ(大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋など)
(3)筋力低下
(4)関節可動域低下(股関節、足関節など)
(5)扁平足、脚長差など
など
外的要因
(1)過度のトレーニング
(2)硬いサーフェイスでのトレーニング
(3)シューズ
など
ジャンパー膝の治療法
保存的治療を基本として実施します。
□リハビリテーション
姿勢や基本動作分析、柔軟性、筋力評価などから内的要因を、問診やシューズのチェックなどから外的要因を検索し、必要に応じて改善していきます。
当院では、特に「動きのクセ」を修正することを重要視しています。
ジャンパー膝の好発年齢である学童期は、柔軟性や筋力よりも「身体の動かし方」の感覚で未発達であるためにスポーツ障害を引き起こしていることが多いからです。
スクワット動作ひとつをとっても、どこの筋肉を使うのか、関節はどの程度動かすのか、どこを意識するのが正しいのか。これらを一人ひとりの「動きのクセ」に合わせて修正していくことで、より早期復帰・再発予防につながると考えています。
□物理療法
日常生活でも痛みがあり、スポーツ活動が困難な状態などの場合には、炎症を抑える目的で物理療法(電気治療やアイシング)を行います。
□薬物療法
上記で改善しない場合や即時的に痛みを抑えたい場合には、NSAIDsなどの痛み止めが病院から処方されることがあります。
痛みを抑えることで適正な動きや筋力訓練などをすることは一定の効果がありますが、組織治癒を抑制する可能性もあるため、状態に応じて使用するかどうか判断したほうが良いとされています。
□手術療法
保存的治療に抵抗する場合は、病院にて手術療法を考慮することがあります。
ただし、他の治療法と比較して優位性の報告が少なく、治療効果が不確定であり、適応には慎重を要すると言われています。
参考・引用文献一覧
1)深井ら:ジャンパー膝・ランナー膝.MB Orthop.Vol.28 No.10:145-152,2015.

執筆者 小山 晴樹
こやま整骨院・整体院 院長 (長野市南長池761-5)
柔道整復師免許を取得後、長野県長野市内のスポーツ整形外科にて診療補助・リハビリテーション業務に従事。オリンピック選手やプロ野球・プロサッカー選手などのリハビリテーションにも携わる。また、施設管理主任・部長として、施設運営のみならず講演会や研修会を企画運営した。
現在は、長野市南長池にて「こやま整骨院・整体院」の院長として臨床に携わる。
